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障子岳、頂上に到着する頃には
挨拶や会話が定型文化
してきている事に気がついた。

「おはようございます。こんにちは。」
「お疲れ様です。」
「健男神社から傾までです。」
「ユックリ歩けば大丈夫です。」
「どちらからですか?」
「ありがとうございます。」
「気を付けて下さい。」
「失礼します。」

山の上では
この数個の言葉で
世界が成り立っていた。


雨も止んだ障子岳ピークで
年配の夫婦が休憩中だった。
挨拶を交わし、
無意識の定型文を喋り、
行動食を食べながら
合羽を閉まった。

夫婦は尾平から障子岳までの
ピストンらしい。
旦那さんは奥さんが進める食べ物を
一つも食べない人で。
奥さんは仕方なくソレを
自分で全部食べ終えて
赤白の練乳ミルクをグビグビ飲む姿が
とても印象的だった。
こういう人が最後の最後まで
生き残るのだろう。





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後ろを振り返ると、
中央辺りの
大障子岩や前障子が霞む。

良くもまー
ここまで歩いてきたな。